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女川原発(日本縦断〜その51)

今日はちょっとお堅い話です。

これも一度は行ってみたいなと思っていたところでした。正直言って、このhymer.lifeが始まったきっかけが、東北の大震災だったからです。あの日、多くの人たちが震災で亡くなって、いつ終わるかわからない運命というものを見せられ、このままの日常で良いのだろうか?

そして社会が暗くなる雰囲気に飲まれてそのまま自粛生活に。

けれど、自分がもし震災で死んでいたらどうだろう、自分の人生の分も生き残った人に思う存分楽しんでもらいたい、そう思うんじゃないか?こんなふうにいつまで自粛してんの?

そんなふうに考えて、いままで経験したことのないこと、もっとやっておこう、そう思うようになったのです。

2011年の夏からパリ、ロンドン、2012年にはイタリア、上海、北京、3人になってからはハワイも含めてお手軽な海外へ行きつつ、国内のいろんなところへ旅に出ました。

今まで、何も知らなかったことを恥じるように多くの見聞を広めました。


たしかに、旅の始まりは東日本大震災がきっかけです。しかし、その時からとても疑問に思っていることがありました。

それは、原子力発電所の爆発です。

そもそも、東京電力が福島県という東北地方に発電所を作っていることすら疑問ではありますが、それにしても、どうしてあのような電力喪失という最悪な事故が起きたのか?

だって、宮城県にある東北電力の女川原発は、同じ高さの津波が来ているのに、電力喪失はしなかったどころか、地元の避難民を受け入れて命を守ったというのです。

同じ東北の太平洋側にあって、この差は何なのか?

その謎を解明するために、何か手がかりはないのか、そんな想いで、女川原子力PRセンターに向かいます。

PRセンターなので、元々は原子力発電所の仕組みを詳しく説明する施設です。

しかし、あの事故の後から、その展示内容は変わっているだろう、そう考えて来てみたのです。

そして、その予想は間違っていませんでした。


ここではお見せすることはできませんが、映像でもってその説明はされていました。要約すると、津波を防ぐための堤防や立地の高さについて、一人の東北出身の技術者が経営陣の反対を説得し、津波対策をしていたのです。その高さ14.8メートル。

地震とともに1メートル地盤沈下した発電所に押し寄せた津波の高さは12.8メートル、なんとわずか1メートルの差で津波をせき止めたらしい。

それでも、冷却用の海水を取り入れるポンプが突き上げられて、地下への海水の流入は止められなかったそうだが、電源が維持できていたので排水できたんだそうだ。

その映像では名前を伏せていたが、その後ネットで調べると、平井弥之助という人物らしい。東北電力の副社長まで勤めた人物だが、女川原発を作るときにはすでに退任して、外郭団体の技術顧問として関与していたらしい。

さらにその映像は、冷却用の海水が取り入れられなくなることまで想定した設計だったことを説明していました。

地震の津波が来て、それが次に引き波に変わるときに、ポンプの取水口よりも海面が下がってしまうことが想定されていて、そのために、取水口の真下に海水が蓄積されるように深く掘るという構造だった。

いやあ、マジ恐れ入った。

ここまで安全を考える人がいたとは。

それに対して、東京電力はひどい。その映像でも説明があったが、津波の想定は4メートルだったらしい。

そもそも、福島原発の建設予定地は標高が海面から60メートルある土地だったのに、それを掘り下げたというじゃないか。その理由は、冷却用の海水を汲み上げるのにコストがかかるから、だとか。

まったく、東北に住む人のことを考えていない判断だったなと思う。


それは、結果論かもしれない。

けれど、予測不能だったというのは、嘘だ。

これから電気自動車を増やそうという方向に世界が進む中、原子力発電所には賛成せざるをえない。もう、江戸時代のような不便な日常に戻すことはできない。

どこまでリスクをヘッジするか、という良い例だと思う。

めちゃくちゃ考えさせられる施設だった。

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