さてハナハイウェイを進む私たちの目に映るのは、森と滝だけです。ハナハイウェイは滝で有名なところで、何ヶ所も滝が流れ落ちていて、その中でも有名な場所では記念撮影なんかも行われています。
「みんな、何が楽しくてこんなところで撮影してるんだろうね」
「いやいや。自然の造形美じゃないのぉ。溶岩でできた島が雨で削られて出来た地形とその上に長い時間をかけて育った木々が生い茂る大自然じゃん」
「こんなの、私の田舎の林じゃないのよ。なーんにも感動するところないわ。だいたい何なの?この水のにごりよう。実家の裏の用水路でももっと綺麗よ?」
「いやいや、今日は雨だから水も増水していて、土が流されて濁ってるだけだよ。いつもは綺麗でみんな泳いでるらしいよ?」
「何をみんな大騒ぎしてんだか。マジこっけいだわ。なーんも感じないわ」
これぞ、田舎育ちと都会育ちの感覚の違いなのでしょうか…。
さーて気をとりなおしてレポートしていきますよぉ~ここはケアナエ半島にあるYMCAのキャンプ場です。公営ではなく民間ですから中までは入れなかったですが、道路から記念撮影させて頂きました。
さて、ハナハイウェイもここがやっと中間地点。もう一度、気合を入れ直してさらに先に進みます。
「写真撮らないの?」
「だって、撮るところ無いよ?」
「いやいや、滝とかあんじゃん」
「いやいや、こんなのうち帰ったらもっとスゴイのあんじゃん」
「…ほら、ここなんか雨水で水量が増して迫力あるよ」
「ただの雨水じゃん。あんた雨どいから流れ落ちる雨水に感動します?」
「そりゃしないけど…」
「でしょ。まーったく惹かれない」
「ほら、こんな滝つぼをみんなPONDって呼んでて、ここで飛び込んだりして泳ぐんだよ?」
「マジか!?あんな恐ろしい水たまりのとこヤダわ。絶対動物の死骸とかあるよ???」
「いや、あれは雨で濁っているだけで普段は澄んでるの」
「こっちは名水の郷出身なんですけど」
「あ、あとさぁ、あの南国の木のツルみたいのがあって変わってるじゃない?」
「あんなの、うちのおじいちゃんに言ったらすぐ作るよ」
「いやいや、作れるとかじゃなくて。ターザンみたいでしょ?」
「うちの近くならリアルに猿がぶら下がって遊んでるわ」
「このカーブの多い道もさあオモムキがあって…」
「ただの山道だよね?」
「は…ハイ」
「だいたいさあ、こんな綺麗に舗装されてんのに、なんであの外人はジープで来てんの?」
「あ…えーっと…」
「こんなもんで天国とか地獄とか言っちゃってさあ、
ちゃんちゃら可笑しいわ」
「はい、すみません…」
「なんだよ。こんなとこ運転させてきて、何なのよ。昨日の話じゃなんだか寒くて長袖着てかなきゃいけない山に登ってくんじゃないの?」
「え?」
「なんか、その昨日言ってた国立公園をあのあとネットで調べたら、山の上で寒いんでしょ?だから長袖持ってきてんだけど。靴もスニーカー履いてきてんだけど」
「あ、あの…それってハレアカラ国立公園のことじゃない?」
「違うの!?マウイで一番有名な公園なんでしょ?マウイに行ったら必ず行けというぐらいスゴイって」
「今日行くところはワイアナパナパ州立公園だよ」
「何それ?それ違うの?」
ハナの町に近付くと、有名なバナナケーキのお店があります。
「こっちにきたらいつも思うんだけど、なんでこう、ケーキのスポンジを湿らせちゃうかなあ~?」
「…」
ささ、先を急ぎましょうね~