ブラックサンドビーチの洞窟は、確実に事件が起きる雰囲気でした。
「これは…この雰囲気は、このあと間違いなくあの左から2番目の人が死ぬわ」
「あーわかる~まず最初にちょっと調子こいてるザコキャラからいくよね~」
「俺たちはまだ、あの悪夢のような惨劇が起きるとは誰も知らなかった…って、この辺に書いてあるよね」
「こうでしょ?」
「明日の朝にはこの洞窟の入り口が崩れて塞がってるわね!」
「キャーッ!それでミユキが『なにか中から音が聞こえない?』とか言って」
「金田一が『海側に回るんだ!洞窟の向こう側から入れたはずだ!』とか言って走り出すんでしょ?」
「そうそう!でも波が高過ぎて入れないのよね」
「で、『これは自然が作り上げた密室なんだ』とか言って」
私たちの旅の会話は、いつでもこんな感じです。たとえそれがハワイでは観光名所の洞窟であろうと、私たちの手にかかればマンガの殺人現場に変わってしまうのです。
洞窟の天井には穴が開いていました。
「これは、ビックリマークが出てるね」
「あー出てる出てる。うっすら見えるもん」
「こんな感じ!」
い、いやあ…青い空がとてもキレイですね。
「これは写真を撮っておかなきゃ」
「田舎には無い?」
「無いわ」
お?やっと認めて頂いたようです。
「犯人はこの穴から逃げたんだね…こんな殺人事件は田舎には無いわ…」
「そっちかーい!」
金田一走りの写真からいろいろと連想してしまいましたとさ。