前日の夜。
「いや~なんていうかなぁボーッとするところだなぁマウイってのはなーんもする事がないわ」
「そうだねぇ~マウイはゆっくりとした時間をのんびり過ごすのがオススメだって書いてあったよ」
「ねえ、明日の冒険の計画なんだけどさ、明日は早起きしてここに行かない?」
「ん?ハナ?なあにこれ。街の名前なの?」
「そう。天国のようなハナって言われているらしいの。それでさあ、この公園に行こうと思いま~す」
「ワイア ナパナパ?変わった名前ね」
「ハワイ語で『キラキラと輝いてる水』という意味なんだって」
「それでさ、そこへ行くまでのハナハイウェイというのが地獄と呼ばれているらしいんだ。ホラ、これ読んで」
- ハナ・ハイウェイは、「天国のような」と称えられるハナ・マウイへと続く道。カフルイからわずか84kmの距離を車で約3時間。
- その理由は、崖に沿って続く細い道は360のカーブと59の橋。内46個は車1台が通れる幅。
- ダート道はないが、その曲がりくねった、所々すれ違いのできない道が、ある程度の運転技量を必要とする。
「天国へ行く地獄の道かあ…。
何ィ?ある程度の運転技量を必要とするだトォ?なんだその言い草は。そう言われては後にひけないわぁ…よーし!行ってやろうじゃないかーっ!」
そして翌朝。ワイレアからの道順はこうです。
ホテルのあるワイレアからカフルイ空港方面へと戻る道を通り、googleさんが言うには2時間21分。距離にして100kmでした。それほど遠くは無いはずなのに、3時間以上もかかる道ってどんなだよ?でも途中で寄り道するからなあ~。
ハナハイウェイに入るまで、途中にあったキャンプ場、ボールドウィンビーチパーク(Baldwin Beach Park)に立ち寄りました。
ここはデイキャンプしかしちゃダメみたいです。車で最も海岸線まで近づける便利なところでした。少し工事中だったけど、写真の右端に見えるトイレも他の公園に比べたら綺麗だったし、整備している途中みたい。
広場ではキャンプはしちゃダメって書いてありました。ここはキャンプ場というよりBBQのできる海水浴場って感じですね。
トイレに行きたかったので、道沿いに歩いて行こうとしたら、芝生の上を歩いて行ってもいいよって工事のおじさんが声をかけてくれました。
さあ、パイアの町を抜けて、いよいよ地獄のハナハイウェイです。何が地獄かって、車に酔うから。カーブが多すぎて吐きそうなぐらい酔うと言われているらしい…。その心づもりをしろよと言わんばかりに、「ここから48マイルはカーブだらけだぜ」みたいな看板が。
運転に自信がなかったらツアーに参加することもできたけど、たぶん、団体行動だと車に酔ったからって自由に休憩できないし、マイペースで行けないからよけい辛いんじゃないかなと。それで、自分たちで走ることにしたんです。
「わあ!なによこの道はっ!すごい狭いところがあんじゃん」
「橋が一台しか通れないところが46ヶ所もあるって書いてあったじゃん」
「ホラ!こんなのマニュアル車で来なくて絶対良かったっしょ?」
「ほら、その細い道の前にはどうやらこの標識があって、ここで前から車が来ないか見てろってことじゃない?」
「ウワッ!」
この日は雨が降ったり止んだり。突然スコールのように降ったかと思うと、カラッと晴れたり。路面も濡れて滑りやすくなって来ました。そこへ、巨大なトラックが前からやって来ました。
「ヤバい、これってすれ違えるの!?」
「わあっ!デカい!」
後でわかったことですが、崖崩れがあったり公園の工事をしていたりで、大きなミキサー車やトラックがひっきりなしに走っているんです。
「…なんか酔った?」
「うーん、ちょっと気分が悪いなあ」
「あ、ここなんか入れるみたい。ちょっと休もう。トイレもありそうだし」
途中に休憩所がありました。カウマヒナ ステート ウェイサイド パークという車が20台ぐらい停められる小さな公園です。テーブルの下で雨を避けて鶏が雨やどりしていました。
この休憩所はケアナエ半島の展望台も兼ねているんですが…この景色です。
「何も見えないじゃない!なにが『天国のような』なのよーっ」
「何を言ってんのよ。こんなの私の田舎の道と同じじゃないの。ささ、行くわよ~。まだ半分も来てないんだから」
「ウワーン!いったいこの先に何があるんだよォ!」
ハナ ハイウェイはまだまだ続く。