「山に登るんじゃないの?」
「うん。どっちかっていうと海で泳ぐ感じかな」
「マジか!じゃあ長袖いらないじゃん!サンダルでいいじゃん!ていうか、水着持って来ておいて良かったわあ。帰りに海岸に寄るかもなと思ってただけなんだけど、良かったわあ。ちゃんと先に言って、それ」
「いや、だからもしかしたらあの滝のところで泳ぐかもって言ってたじゃん」
「なんだあ。てっきり山に登るんだとばかり。おかしいなあ道がなかなか海岸沿いから離れないなあと思ってたのよねえ」
誤解とは面白いもので。ここまで食い違うとは。
「わざわざ海水浴にこんな道を通って行く意味あんの?」
駐車場に到着したらスゴイ車の数。結構な人数が来ていると思われます。車を停めてすぐにどしゃ降りの雨。スコールっていうやつでしょうか。さっきまで晴れていたのに突然です。すぐにやむだろうと思って車に戻って待っていたら、5分程度でやみました。
普段ならここから下に降りれるのですが、あいにくこの日は大掛かりな工事をしていました。何の工事かはわかりませんでしたが、グルーっと回り道をしていかないと下まで降りられません。
グルっと歩いて行くんですが、朝からの雨で地面は泥だらけ。歩いていく途中にキャンプ場を発見しました。日本のキャンプ場のイメージとは全く違います。
キャンプ場を抜けると海が見えて来ました。
木の間を抜けて、木の根を踏み越えながら、遊歩道へと降りていきます。降りてから後ろを振り返ると、こんな感じ。もはやジャングルです。
そして、広がる絶景。海の色が紺色に近い濃い青です。それもそのはず。この海岸は岩の色がまっ黒なんです。これ、溶岩が冷えて固まったもので、ハワイ諸島はすべてこの岩でできています。
そしてこれが一番有名な写真スポットから撮られた景色。ブラックサンドビーチです。ハワイ島のものが有名ですが、マウイ島でも見られるんですね。
「うわー何これ!まっ黒じゃん!?」
「本当だ、写真では見たことあったけど、本当にまっ黒なんだね」
「変わってるわぁ~これは変わってる」
「早く、行こ!早く降りて見よう」
「うん!すっかり機嫌はなおっておる!」
海岸に降りていく階段ですら熱帯のジャングルのよう。
着きました。着きましたよ~目的地に。
「うわ!こういうことかぁ!
砂が黒いんだ!」
「えーっ!それ説明?まんまじゃん!見たらわかるって」
「なんで黒いの?まるでイカ墨スパゲティ並に黒い」
「説明すべきはそこでしょ?」
「あ、やっぱり海だからイカ墨?」
「そうそう、昔々ここに住んでた漁師が魚採りすぎてえらいイカを怒らせましてなぁ、身体中の墨をみーんな吐いてしもうて、砂浜はまっ黒に、イカは透明になってしもたというわけですわー…っておい!」
冷えてむき出しになった溶岩が波に削られて石になり、ぶつかり合って石が細かく砕かれて砂になったので、冷えた溶岩と同じ黒い色をしているというわけなんです。
さらに写真奥の半島まで歩いて行くことが出来ます。
さらにジャングルのような道を突き進み…
これは誰が見ても溶岩でできたと伝わるでしょう。
波は荒く、打ち付けていました。
うーん確かに日本にも同じようなトコはあると言われれば、そうなんですけどね。同じ島国ですしね。
「でも、この変わった砂浜はないでしょう?」
「まあ、これは良いとこに来たわ」
「あれ何だろう?」
「洞窟じゃん!行ってみよう!」