黒い砂浜を堪能した後は、最終目的地のハナの町へ向かいます。
「とりあえず、お腹がすいたね」
「うん。何か食べよう」
「何か美味しいお店あるか、検索してみて」
「…」
「どうしたの?」
「電波ない…」
「えーっ?」
「圏外だわ」
「( ̄◇ ̄;)ガーン!」
我々iOS族にとって、海外での『電波が届かないか電源が入っていません』というメッセージほど恐ろしいものはありません。それは、雪山で遭難して突然真っ白になるホワイトアウトのようなものです。
「たぶん、もうここら辺がハナの中心部のはずなんだけど…」
「地図も見れないわ。」
「あ!この教会、写真で見たことある!ここだよココ!もうハナに着いてるよ」
私たちは無事にハナの町に到着しました。道はなんてことはない只の海岸沿いの山道でしたが、それを走り抜けた達成感は日本でもマウイでも同じでした。そして古き良き時代を感じさせる建物や生活があり、携帯電話も必要ないのでしょう。(ローミングはT-mobileでした。そのお話はまた別の機会に。)
「何か看板を探そう。あ、あの緑色の看板がそれっぽくない?」
「ほんとだ。レストランって書いてある。行ってみよう」
もうほとんどカンをたよりに車を走らせて行きました。
お腹が空いていたら鼻が効くようで。見事に迷うことなくたどり着きました。
「ねえ、わりと美味しくない?」
「そりゃああんた、サラダしか食べてないでしょうが」
「たしかに!」
「サラダに味なんてあるの?」
「うん、生クリームとチーズっぽい」
「それ、ドレッシングの味や!」
ツッコミをするときにはなにげに関西弁を使ってしまう今日この頃です。
「ねえ、このドリンクがビンに入ってくるっていうの、昨日ホテルでやってた料理番組でも見たんだけど、流行ってるの?」
「うん。最近は日本でもたまに見るね」
「そうなんだ~」
「おしゃれよねえ」
「でも、それってモロゾフのプリンのビンを再利用しているオバちゃんとあんまり変わらなくない?」
「まあ…そうだけど…今はオシャレなのよ、モロゾフのビンも」
「いやいや、それってオバちゃんがもう昭和からやってるから」
「そ、そうだね、たしかに…。そう考えるとオバちゃんって時代の最先端を行ってるのかな?」
「エコってことだよね」
「そっか~」
と、妙に納得してしまう。日本のもったいない文化は今は欧米でも通じるMOTTAINAIというエコなスローガンになっています。資源の少ない島国ですしねここマウイも。なんだか、自分たちの原点を彼の地で再発見させられました。
「ハワイって物価が高いじゃん?島で採れないモノは全部が海を越えて持ってくるからそりゃあ高くなってしまうよね。パイナップルとか南国のフルーツはとても安くて美味しいんだけど、特に日本の食べ物は高いわ」
「だから、天国のような町では資源を大切に使ってるんだね」
「マウイは自然を大切にする文化がまだ残っているのかな?」
「うん。そうかもしれない。観光地として栄えたい気持ちとうらはらに、元の生活を残したい気持ちとの心のせめぎ合いというか」
「ねえ、さっきのキャンプ場、見たでしょ?」
「ワイアナパナパの?」
「うん」
「あれがキャンプなのよ。キャンピングカーとはまったく別物で…自然と一緒に寝るというあの感じ。小学生のころに体験した感じ。寝るのはテントかロッジだった」
「そうよね。だって、日本ではキャンピングカーって呼んでるけど、海外じゃモーターホームだもんね。あくまでも車と家がくっついたってことね」
「モーターホームが泊まるところはキャンプ場ではなくRVパーク。日本のオートキャンプ場って、どちらかというとこのRVパークに近いわ」
「キャンプとカーをくっつけた日本のキャンピングカーっていう言葉が、RVパークとキャンプ場をごちゃ混ぜにしちゃったのかな…」
「たしかに…。だって、私たちだってキャンプ場泊よりも観光旅行でサービスエリア泊の方が多いもん。RVパークってサービスエリアって感じ」
「うーん…なんだか頭がこんがらがってきた。キャンピングカーっていうけど、本当はキャンプするためにあるのかな…?」
「わかんない…」
「ねえ、日本に帰ったら、小学生の頃みたいなテント泊しない?」
「いいねえ。焚き木で飯盒(はんごう)で米炊こう」
「あ!」
「どうしたの?」
「飯盒!!」
「もしかして、忘れた?」
「ううん、ちゃんと持って来たわ…こっちでお米食べるのに、オアフ島に行ってからホテルの電気炊飯器じゃ美味しくないって前に来た時にそう思ったから…」
「うん、いつも家で使ってる土鍋より軽いから飯盒を持ってこーって、トランクに入れてたよね?」
「それが…使えないのよ」
「どうして?」
「うん…あした移動してオアフに行けばわかるよ。その文明の恐ろしさがね」
「えーっ?何があるのー?」