古民家ライフの体験施設〜薪を焚べ かまどで炊いて 燻される。

ここは、古民家を移築して作られたという昭和初期の田舎暮らしの体験宿泊施設。場所は…あえて秘密にしておきます。

「なんで?」

「いや、だって、誰も興味ないでしょ?」

「そんなことないでしょ」

「じゃあヒントだけ入れとくね」

とまあ、わいわい言いながらも、施設名は秘密にしてお話は進みます。

もうなんというか大変な施設だ、不便なことこの上ないという友人の体験談を聞きつけて、そりゃちょうど時間を持て余していることだし行ってみようという事になり、何人かに声をかけてみると私も僕もと大人数になりました。こりゃわいわいと大騒ぎになりそう!

予約の際に食事のメニューを決めるのですが、これがなんと「皆さんで調理してくださいね」方式。食材だけ用意してくれてかまどで火を起こすところから自分たちでやらなくちゃいけません。うわー!どうすんだよーとわいわい言っております。



もちろん、かまどは土間にあります。

素晴らしいかな昭和。もうすぐ平成も終わって、さらに遠くなる昭和…。明治、大正、昭和、平成そして再来年にはその次の年号ですよ。子供の頃に「えーっ?明治ぃ?古いねーっ!いつの話?」と思ってたのに、もうあと10年もすれば小学生に「え?昭和って平成のまだ前でしょ?おばさん古ーい!」ってわいわい言われちゃうんだよぉ?

クーっ!キッつうー!


とまあ、その頃にはもはやおばさんと呼ばれるであろう人たちは、キッチンでせっせと食材の皮をむきます。ん?水道の蛇口をひねれば水が出てその隣にはIH調理器?うーん…なんともミスマッチな風景でございまして。

薪のように大きなものでなく、少し小さな焚き木をこっぱと言いまして、田舎育ちにとっては常識なの。こっぱはちょっと値段が安めなの。火がつきやすいの。

薪を少し細く割るところから、小学生の子どもたちに手伝ってもらい、小さい子たちはずっと虫捕り。カマキリだーバッタだーとわいわい言うも、意外に男の子の方が虫が怖くて触れない不思議。


少し飽きたら川遊び。場所は変わっても生き物を探すことに変わりなく…


土間を上がると囲炉裏もあって、大人だけならここで魚を焼いたり鍋を囲んだりというのも面白そうなんだけど、火傷が心配ですね。昔はよく子どもが囲炉裏で大やけどする事故が多かったものです。灰の中に手を突っ込んだりしたんだそうな。危ない危ない。

囲炉裏の前にひいおばあさんがずっと座ってくれているような大家族なら、子どもを見守ってくれるんだろうけどな。今はもうそうはいかない。

囲炉裏はもちろん、かまどの煙も換気扇で排出するようなことはありません。茅葺き屋根の家では、この煙が屋根裏から抜けていくことで、家を長持ちさせる効果があるのだとか。

ちょっとご飯とカレーを作っただけでもこの状態。

みんなでわいわい大騒ぎしながら煙を扇ぎ出しました。けれど、煙が出るところがないので、このままで夕食に突入。煙は上に上がるので子どもは背が低いから大丈夫なのですが、大人は目にしみる…

そういえば子どもたちは、畳の上で布団を敷いて寝るのも始めての体験かも…もう少し大きくなったら枕投げイベントで盛り上がるんだろうけどなあ。あれは、子どもながらにもの凄い強く印象に残ってる。大広間で一斉に枕投げ…大相撲の座布団が舞うのにも似た…

わいわいという村で、ちょっぴり田舎気分を味わったのでした。


追伸:この日持っていったカバンはしばらく煙のにおいがとれませんでした。もし行かれる方があればご注意を。