それは、大江戸温泉の駐車場でのこと。突然その事件は起きました。それでは、その様子をドキュメンタリー形式で振り返ってみましょう。
私はエンジンをつけ暖房をかけていました。ついさっきまで温泉につかって温まった身体を湯冷めさせちゃあいけないと考えたのです。
そして、部屋着に着替えたので中からドアに鍵をかけていました。
「今から帰るね〜もう駅に着いたからもうすぐ着くよ」
「なんだか、ゆりかもめに乗って大江戸温泉に帰宅するって不思議な感覚だわ〜」
スマホで連絡があって、数分後にガチャガチャとドアを開けようとする音がしました。あ、そうだ鍵をかけてたんだと気付いて、鍵を開けました。おかえり〜と、ここまではいたって普通の流れです。
今日の出来事を話しながら、少しお腹が空いてきました。
「なにか買ってこようかな、コンビニ行ってくるわ」
「この近くにあるの?」
「あるよ、さっき駅から歩いてくるときにそこの交差点にファミマがあったよ」
「駐車場の出口出たところの?」
「そうそう」
「じゃあ、私が行ってくるわ」
ありました。ファミマが。
これは便利だわ。ほんと大江戸温泉の駐車場でお台場車中泊はベストな選択肢かもしれない…そう思いつつコンビニおにぎりなどいろいろ買ってすぐにHYMERくんへと戻りました。
大型車の駐車スペースは電灯もあるので夜道も安心です。出口の真ん前だから人通り(車通り?)も多い場所だからかえって目立って良いかも。目立つところに悪い人来ないもんね〜。
さ、寒いから早く入って、おにぎり食べて寝よう
ガチャ。
「あれ?」
ガチャガチャ。
「ん?」
ガチャガチャガチャ!
「開かない…」
すると、中からドアを開けてくれて
「何やってんの?」
「いやいや、ドアが開かなかったの」
「え?」
外からドアノブを引っ張っても、鍵がかかった時みたいにスカスカと手応えがありません。
おかしいなと思いつつ確かめようと、外に出てもう一度開けようとしてみて、やっぱり開かないのを確かめました。
中から鍵も閉まりません。
「壊れてるね…」
「え?じゃあもう外に出たら、中に入れない?」
「いやいや、助手席側にもうひとつドアがあるから」
「あ、そっか!忘れてた!普段使わないから」
「でも、あのドアはいつでも鍵をかけているから、もし鍵を車内に置いたまま外に出ちゃうと終わりだよ」
「ホントだ!」
そしたらなんだか怖くなって、すぐに助手席の鍵を開けました。特に閂(かんぬき)の鍵はJAFを呼んでも開けられなさそうな気がするし。
いつも夜に寝る時に安心感をくれているあの鍵が、今は恐ろしいものに感じられるというこの不思議な感じ…
「どうする?」
「うん、とりあえず営業担当さんに連絡してみる」
「そうね。今日は寝るだけだもんね」
そしてその夜は就寝。東京の夜はそれほど寒さは感じないでぐっすり眠れました。
そして翌朝。
「担当さんが東京で修理してくれるところを探してくれたよ〜」
「よーし!じゃあ行ってみよう!」
こういうハプニング、嫌いじゃないです。予定外の事件が起きたってHYMERくんなら大丈夫。あの雪の中でも難なく過ごせたし。とまあ、漠然とした安心感でその新しい目的地を目指します。
「じゃ私たちはディズニーランドに先に行ってるから!」
「え〜マジで〜!ウソウソ。そうしよう。大勢で行く意味ないし1人で行ってくるね」
さあ、ディズニーランド駐車場に着いたぞ〜っと。入り口ゲートで事情を伝えます。
「すいません、一度駐車場に入って降ろしてから、私だけ車の修理に出かけたいのですが」
一度駐車場に入っても、途中出場出来ることは知っていました。ところが、
「あ、わかりました。では降りやすい場所に誘導しますので、同乗者様に降りていただけるように誘導しますね」
「あ、ありがとうございます!」
「では、これで入場ください。あと、ワイパーのところにこの目印をつけさせてください」
と言って白い紙をワイパーにはさんでくれました。それで途中の誘導員の皆さんがバスの昇降場へと誘導してくれました。
す、すげえ…そんなものまで用意されているのか…どこまで想定内なんだよ。
感動です。(つづく)