お好み焼きを「広島焼き」と言ったら激おこぷんぷん丸じゃけ!

もう、これを食べるために来たと言って良いほど、最後まで大事にとっておいたグルメの一品。中国地方に来る最大の理由。それがお好み焼きです。

まだ若かりし頃、仕事の関係で広島駅に降り立った時に、タクシーの運転手さんに、

「あの、広島焼きの美味しいお店、連れてってください」

とお願いしたことがありました。もちろん、広島に来たんだから、広島焼きは有名だし、どこか良い地元の名店に連れて行ってくれるもんだろうと、ワクワクしていたのを思い出します。


すると、運転手さん

「え?広島焼き?そりゃあなーにぃ?わからんけ」

「え?」

しばし沈黙。

明らかに広島弁で話すおじさんに疑いなく地元民とこちらは認識。しかし広島焼きを知らない?どういうことだそれーっ???となっていると。一緒にいた友人が説明しだして、

「あ、あのキャベツと焼きそばでソースがかかってる…」

「ああ、お好み焼きじゃけ」

また、しばし沈黙。

さて、その時点で、お前らの言う「広島焼きという呼称は認めんけぇの」という強い念動波が、おじさんの背中から光り輝くビームのように私たちの後席を貫いていくのがわかり、思わず身体が震えました。

「あ…は、はい。広島風お好み焼きです」

そう絞り出すのが精一杯。ところがこれがまた油に火を注いだのです。

「広島風っていうのはなんね。そりゃ勝手にそう呼んどるんじゃけ。わしらはあれがぁ本家のお好み焼きじゃけ。それ以外にお好み焼きはないんじゃけ」

「はいっ!お好み焼きです!お好み焼きの美味しいところへ連れてってください!」

というわけで、お好み村へ連れてってもらったという思い出話。

ところがこれが実に美味しかった。それからというもの、オタフクソースよりもミツワの方が美味しんじゃないかなとソースにこだわりを持ってしまいました。

しかし、この旅の前半では、その「お好み焼き」にもありつけず、帰りに食べようと言って後回しにしていたので、山陽道を張り切ってHYMERくんを走らせていました。

すると、なんと山陽道で事故による通行止めが発生!


「うっひゃあ、何をしとるんじゃけ〜」

と広島弁に。

しかたない、防府で降りて中国道へ戻ろう。そしてそのまま東へと向かう帰り道、もうお好み焼きはアキラメるしかない…

だったらもういつでも寝られるようにお風呂に入っておこうかと探して、戸河内インターからすぐ近くの「グリーンスパつつが」へ。


なかなか見晴らしの良いお風呂をいただきました。


さあ、風呂も入ったし。中国道をこのまま東へと帰宅する道を考えておりますと、どうでしょうネタが自動的に開始されました。

「お好み焼き…食べたかったね…」

「うん…」

「あのね、これは独り言だぞ。次の広島北ジャンクションを曲がると、広島市内に出るんだ」

「そうだね」

「きみ、知ってるかい?広島にはね、お好み焼きっていう美味しい食べ物があるんだ」

「そりゃ知ってるさ」

「温泉で旅の疲れを癒したあと、もう一つ旅の楽しみっていうのは何だい?」

「グルメだな」

「そうだ。でも言っとくぞ。広島市内に出ると遠回りだぞ」

「当たり前だ。通行止めを迂回してただでも遅れてるんだ。山陽道は観光地が多いからジーダブリュー渋滞もあるしな。とてもじゃないが広島には行けないぞ」

「そうだな」


しばらくして広島北ジャンクションへ。

「もう一度、確認しておくぞ。次のジャンクションを右に曲がると、広島市内に出るんだ」

「おいおい独り言が大きいぞ」

「そうだった」

「さあ、帰るぞ」



「さあ、着いたぞ」


ごちそうさまでしたー!