宮島ってねえ、そりゃあ有名な観光地ですよ。船に乗って沖の島に渡っていくと鹿がたくさんいてお出迎えしてくれて、海にあの有名な赤い鳥居があって…。
「ふわ〜もう広島通過中だよーん」
「あら、もうそんな所まで来たの?いやあ頑張って走ってるねえ」
「当たり前でしょ〜目指すは九州なんだもの、これぐらい頑張って進んでおかないと」
「そうだよねえ」
とまあ、いつものように旅の途中で暇つぶしの内容の無い会話が。
「でもさあ、途中のいろんな見どころをですね、ご紹介しようとも思っているわけですよ」
「え?何ですかそれ」
「ああ、まあ、blogネタっていうかですね」
「だからこう頑張ってねえ、運転してですよ。ここいらでこの企画モノっていうのが大変なんだってことを伝えようというわけかい?」
「それは、またどういうことで?」
「こう、HYMERくんで旅をしているその優雅さっていうのかなあ、そういうのをこう、伝えてよ。それかさ、なんだかトラック野郎みたいなさあ、長距離でも難なくこなしていく荒々しい感じとかさあ。そういうカッコいいところもいいぞぉ?」
「そんなの、何も面白くないでしょが?」
「いやちょっと、なんでよ?」
「あーたねえ、このノープランな私たちがね、何事が起きるかわからないっていう緊張感の中で、誰も知らないような細かすぎるボケをひらって旅のツッコミどころを紹介していくってゆーのが面白いんじゃん」
「そうなの?」
「そりゃそうでしょ。だってさぁ昨日の岡山の桃太郎像なんて、爆笑モノでしょうが」
「いやちょっと待て、旅の紹介って言うからには、例えば岡山だったら倉敷の風致地区とかさぁ、いまこの広島だったらオバマさん来た平和記念公園だとかさぁ、いろいろ観光地があるじゃないの。そういうのをね、写真とともにですねぇ…」
「つまらん!お前の話はつまらん!」
「え…」
「そんなことやって誰が喜ぶっていうのよ。そんなのはテレ東に任しときゃいいの」
「…」
そこはかとなく時は流れ…
「あ、宮島サービスエリアだって。寄る?」
「宮島?それは言い過ぎだなあ。海からは遠いし、だいたい内陸部で島じゃないし」
「まあ、行ってみよ」
「なわけないっしょ。さっきまであの山道走って来たのに」
「あ…」
「やっちゃった?ボケを」
「そうね、ツッコミどころ発見だねえ」
「もう少し近づいてみよ」
「いやいやわかってたでしょーが。でもここまでやるってことはこっから見えるんじゃない?」
「あ!双眼鏡が!」
「あ、見えた!うっすらと」
本当にうっすらと見えたのですが、写真には収められませんでした…。
「なるほど。見えればまあ宮島SAと名乗ることを許されるわな」