2018年問題の解釈に困る

平成27年に改正された労働者派遣法がとうとう威力を発揮する時が来たと世間ではいま大騒ぎしてますね。世の中は人材不足で補助金が出るから長く続いている派遣社員を正社員に転換する動きもある一方で、雇い止めも起きるんじゃないかと問題視する人もいます。

2018年問題と呼ぶらしい。うーん…どこが問題なのか全くわからないんだよなあ。

結局、雇いたいと思うような優秀な人は、本人が希望すれば正社員になれる。どこが問題なの?

昔は派遣会社にバレないように本人と話をして、派遣会社を退社して元の派遣先へ再就職するというウルトラCでした。さすればまあ、世の中が追いついて来たということなんでしょう。

一方、派遣先が正社員にしたいと思わないような人は、雇い止めされちゃうというわけ。だって、正社員になりたいって言われたら困るもの。優秀じゃない人にはツライ改正だということで…それが問題?

資本主義=自由経済社会の「能力主義」なんでしょうね。能力が低ければ、どんどん賃金が下がってしまうというアレ。

値段の安い労働力を求めて、企業が海外の工場へ仕事が移転していって国内に仕事が無くなるよりは、安い賃金であれば日本の労働力を買いたいと思わせた方が良いのでしょうか?

今日は、この問題を考えてみたいと思います。


数年前の話ですが、東南アジアのある国に行った時のこと。ヨーロッパのある有名なブランドが、東南アジアの国で安い労働力を求めて現地の外注工場に発注していたところ、現地の工場が子どもを労働者として働かせていたことが問題になり、監査が入ることになりました。

「子どもを働かせて作った商品なんて、買わないようにしよう!」なーんていう不買運動が巻き起こったそうです。

子どもはもう働かなくて済むようになりました…めでたしめでたし。

めでたい?

そうなのかな?その子は収入がゼロになったのです。

どんな事情があって働いていたのかはわかりません。けれど、子どもが収入ゼロになった事は間違いありません。生きていくのに必要な仕事だったのかもしれません。

もしかしたら、悪い大人に労働力として使われているかもしれず、そんな悪い大人が金儲けの道具に子どもを騙しているかもしれない。考え出すと貧困であるがゆえに悲惨な現実が背景にあったのかもといろいろなケースを思い付く。

でもじゃあ、その収入がゼロになったら子どもは生きていけるのだろうか?労働力としての価値もなくなっちゃうと悪い大人からも相手にされなくなる…。

子どもを大事に育てる富んだ国に生まれれば、教育も受けられてご飯も食べられる。でも発展途上にある国の学校にもいかせられない家庭に生まれたら?

生きるために働くしか無かったのに。


裕福な国の人は、自分達の常識で他国にも押し付ける。子どもを働かせて作った商品は買わないとか言い出して、裕福な国のお金が発展途上の国に流れて行くのを、ストップさせてることに気付かない。

それなら、その子どもをひきとって育ててやってくれよお。

できもしないのに綺麗事を言ってさあ。

自国に難民が入国してきたら文句を言い始めているじゃん。

それって、子どもを働かせないでと言いながら、実は国内の労働力に戻って欲しいだけじゃないのか?


中国は昔は貧しい国だった。安い労働力を求めて世界の工場となって、どんどん経済発展し今ではGDPで日本を抜いた。これは安い労働力のおかげで世界中から莫大なお金が流れ込んできたからだよ。

そして次々とアジアの発展途上国にお金が流れていって、最後はみんなが潤うはずなんだ。その流れを途中で止めちゃだめだ。

日本も、昔の人たちの安くて勤勉な労働力に支えられてここまでよい国になった。子どもだって働いたんだ。丁稚奉公という時代もあったんだから。昔の人が同じ道を歩んできたことを今の私たちは忘れちゃいけない…とは思う。

昔の人の苦労が、今につながってると思ってる。

でも、そうやって世代を重ねて乗り越えるもんじゃないのか?

発展途上国からみれば、「何を金持ちのお嬢様が寝ボケたこといってんだ」と思われてるよ。金を恵んでもらうような誇りを失う情けはかけて欲しくない。自分たちの次世代のために乗り越えている苦労だ。

ほどこしを受ける安易な考えだと、発展が遅れるって知ってるんだ。誇りがあるんだ。


話は戻って。

派遣先が正社員にしたいと思わない人…つまり正社員にしたいと思うほど優秀じゃない人は、そりゃ派遣切りに合うでしょう。それを問題だと大騒ぎする人は、優秀じゃない人もみんな正社員にしろって言うのかしら?

優秀で安い労働力が海外にあるのに、そこへお金を回すぐらいなら自分たちを正社員にしろってか?

それって、ほどこしじゃないの?発展が遅れる気がする。